2010年10月12日火曜日

四対一

一日遅れではありますが、昨日の清水市代女流王将と「あから2010」の対局がありました。


こいつが勝利。しかし見れば見るほど脱力するキャラでして…

ま、それはともかくとして、今回の対局、果たして人間がコンピュータに負けたのでしょうか。いや、結果だけ見れば86手で清水女流王将が投了しているので「あから2010」の勝利ではあった訳です。

「あから2010」は、異なる四つの将棋ソフトの合議制で動いております。合議制というのはどういう事かというと、四つの異なる将棋ソフトがそれぞれ打つ手を検討して、多数決によって次の一手を決めるという方法です。「あから2010」に搭載されたソフトは以下の四つ。


  • 激指
  • GPS将棋
  • Bonanza
  • YSS
これら、作者が異なる四つのソフトが合議制に基づいて次の手を決める、これが「あから2010」の基本動作です。四つのソフトが全て同じ手を出せば、当然その手が次の手になります。一つだけ異なる手を出してきた場合は、残った三つが出してきた手を採用、といった具合です。これはソフトウェア工学の分野では古くからNバージョンプログラムと呼ばれてきたアプローチで、非常に高度な信頼性を求められるシステムに導入されてきた実績もあります。

これって要するに、四人掛かりで一人の人間に挑んでいる様なものです。しかも素人の四人ではない、プロの対局を数万通りも学習し、お互いに切磋琢磨し合ってきたコンピュータ界では最強の四人なわけです。その四人が束になって、お互いのミスを補い合って、ようやく一人の人間に勝てたというのが今回の試合だったと思います。

IPSJは「ゆくゆくは名人と」などと言っているようですが、今回のアプローチでたとえ名人に勝てたとしても、何というか将棋の試合としては認めたくないなぁというのが正直な感想です。

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