2011年2月10日木曜日

カード切り替え顛末記

JR東日本のVIEW Suicaカード/定期を利用しているのだが、この度クレジットカードの有効期限が来たので、新しいカードが届いた。定期券情報は駅の端末で移行させられるらしい。が、事はそう簡単にはいかなかった。

まず現在の利用形態だが、Suicaカードのオートチャージ機能を使っていた。これはSuicaの残高が一定以下になると、自動的に一定額がチャージされる仕組みだ。チャージは登録されているクレジットカードに課金する形で行われるが、私の場合はクレジットカード一体型だったのもあって、あまり考えずにVIEWカードに課金する設定にしていた。

さて、新しいカードが届いたので、出かけるタイミングで定期券情報の移行をしようと考えていたとある週末のこと。ちょうど外出の用事があったので現行のカードと新しいカードを持って出かけた。ちなみに現行のカードは最近カードリーダに対する反応がかなり悪くなっていた。ちょうどいいタイミングでカードの更新ができると思っていた所ではあった。

残念ながら行きには時間がなかったので、とりあえず電車に乗って、帰り道に処理をしようと思って改札を抜けると、違和感。Suicaがチャージされたのだ。おかしい。残高には余裕があったはずだがと思っていたが、目的地の駅を降りる時に事情が判明した。新しい方のクレジットカードにチャージされてしまい、現行のカードの定期券が使われていなかったのだ。

ここでまずおかしいのが、どうして新しい方がオートチャージされてしまったのかという事。オートチャージはSuicaの機能だと思ってたのだが、起きた現象を考えてみるとどうやら新旧のカードはその情報を共有しているらしい。確かに切り替える事だけを考えればそういう情報まで引き継げるのは理想的だが、それならば定期券情報などを切り替える時に引き継いでほしい。

まあ片道分の電車賃はあきらめるとしたが、次の問題は結局駅の端末での定期券情報の移し替えができなかったという事だ。何でも新しいカードの方でSuicaの利用履歴がつくと、移し替えができなくなるらしい。これではどうしようもないので、サポートに電話して対策を指示してもらう。それによると、現行のカードの定期券情報を一旦磁気定期券化して、そこから新しいカードに定期券情報を移せという事だった。


現行カード→磁気定期券→新カード


ということだ。そこでみどりの窓口で磁気定期券発行の手続きをお願いした。すると次の問題。窓口の端末では定期券情報の読み出しが出来なかった。確かに改札でも反応があまり良くないが、それでもちゃんと改札を通過できてるのだ。だが窓口担当者は「この機械では読み出せない」の一点張りで、もう一度サポートに電話しろという。仕方が無いのでその場でサポートに連絡する。で、また事情を一から説明。こういうのは引き継げ、ないんだろうねぇ

結局解決策は、
  1. 書類を送付するので、その書類を添えて改札でSuica停止処理を行う。
  2. 停止処理の終わったSuicaと書類とセットにして、みどりの窓口で磁気定期券の発行を行う。
  3. 磁気定期券から新しいカードに定期券情報を移す。

という手順を踏む事に。先日その書類が届き、今朝やっと新しいカードに定期券情報を移す事が出来た。

問題は古いカードのSuica残高。送られてきた指示によると、カードを送り返したら、現在のチャージ額をチャージし直した新しいカードを送り返すとの事だったが、そもそも期限が切れるカードを再送付してもらう意味が無い訳で。とりあえず試してみようと考えているのは、

  1. 新しいカードを使ってオートチャージ機能の無効化を行う。
  2. 古いカードの残高を使い切る。

である。オートチャージ機能の設定が二枚のカードで共有されているなら、この手でうまく行くはず。だめだったら…

また電話か。

2011年2月9日水曜日

募集

現在、 @bonotake さん等と一緒に、以下の書籍の和訳を進めています。

Software Abstractions: Logic, Language, and Analysis

で、ご指示を頂きましたので翻訳のレビュアーを募集いたします。


- 募集人員:若干名
- 期間:3月初旬から3月いっぱいまで(予定)
- 応募方法: takeo.bono at gmail.com にメール または twitterで @bonotake にmentionしてください。
手を挙げていただいた方のうち何名かを選抜して、2/22以降にこちらから声をかけさせていただきます。(応募頂いても、残念ながらお願いしない場合がありますので、悪しからずご了承下さい)
Alloyの知識あるなしは問いません。ユーザー、あるいは入門者の視点で読んでくださる方歓迎です。


関係者でここを見ている人が何人居るか謎ですが、一応。

2011年2月3日木曜日

ウサギとカメ

先日どなたのツィートだったか、botだったか忘れたのだが、有名な「ウサギとカメ」の寓話について面白い解釈があった。なぜウサギはカメに負けたのか、ということについて、目的意識の違いを挙げていたのだ。私の解釈を加えると、なぜウサギは居眠りをしたのかという事だと思う。そして、ちょっと穿って考えて、強者を倒すための弱者の戦略に関する寓話とも思える。

念のためにウサギとカメのお話をおさらい。足の遅さをウサギに馬鹿にされたカメは、山の麓までの競争を持ちかける。スタートするとウサギはどんどんリードをとる。途中の木陰を見つけて、ウサギは一休みする。その間にもカメは着々と歩を進め、ウサギが目を覚ましてゴールに向かうと既にカメはゴールしていた。

だいたいこんな話。もとのツィートは、ウサギの目的がカメに勝つ事だったのに対し、カメの目的はゴールする事だった。だから勝てたのだと言う話であった。正直ちょっとうまく言い過ぎかなと思ったのだが、自分で少し考えてみるとこういう事かと思いついた。

ウサギはカメに対して優越感を持っていた。他者を下に見て優越感に浸るというのは、ありがちな自己賞賛のやり方だろう。「脱兎の如く」という言葉もあるように、ウサギは素早さの象徴でもあるから、これは長所に溺れる人の象徴として与えられていると思われる。

一方でカメは、何の根拠も無く競争を持ちかけている。普通なら負けるとわかっている勝負だ。これはスポ根漫画によくあるプロットの典型例でもある。強大な敵を努力で克服しようとする姿。だがこのカメは別に一ヶ月の特訓の後にウサギに挑んだ訳でもない。その辺りはご都合主義なんだが、とにかく努力と継続を武器に才能豊かな人に挑もうとする人の姿だろう。

その観点で考えると、ウサギの目的は自分がカメより優れている事を示したいだけである。そもそも競争というアイデアを持ってきたのはカメの方であるし、ゴールという目的がウサギに希薄だったのはある意味当然かもしれない。ウサギの目的を考えれば、逆に先にゴールする事はあんまり意味が無いのだ。だってどれだけ自分がカメより早いのかということを示す術が無いから。「ほらここでこんなに差がついてるぞ」ってのを見せつけ続ける事が効果的なんだから、さっさとゴールしてしまっては意味が無い。だからウサギは途中で止まったのだろう。なるほど、ウサギにとってはゴールは目的ではなかったのだろう。

カメにとってはウサギの鼻をあかす唯一の方法は、自分の出した目的を達成する事だったので、当たり前だが途中で休むという選択肢は無い。こちらはできる事を着実にやるしか無いのだ。もちろん、途中であきらめたりさぼったりしたら勝つ事はできなかっただろうからそこは評価する所だろうが、やらなければいけない事をやっているだけ、しかも才能のある人間に無根拠で「勝つ」と言い切ってしまったのだから当然といえば当然である。ただこれが、ウサギの優越感を逆手に取った高度な心理戦の結果であるなら、カメの戦略は多いに参考になる。要は相手に間違ったゴールを認識させて、自分が真のゴールを着実に目指すという戦略だ。

人間40年以上生きてくると、「あきらめずに努力する事が大事だ」なんてお気楽なお題目だけでは生きていけない事が身にしみてくる。だからウサギとカメの話も単なる「努力礼賛」ではないと解釈する方がしっくりくる。なーんか汚れてる気がしなくもないが。